町内の防災士で組織する「高森町防災士会」では、2025年6月7日に会員向けの避難所開設体験会を開催しました。
以下、その模様をご紹介します。
1)目的
- 災害時、防災士会メンバーを中心に迅速で効率的かつ安全に避難所開設が行えることを目指す。
- 将来的には、体験会を通じて得られた知見や気づきを元に避難所開設に係る手順書を作成し、地域の避難所開設に携わる自主防災組織への横展開を目指す。
2)体験会の概要
- 日時 2025年6月7日(土曜日)13時30分~16時30分
- 会場 高森町福祉センター2階
- 想定付与
・長野県南部で最大震度6弱の揺れを観測。
・電気、ガス、上水道は使用不可。
・住宅被害が発生し、多数の避難者が避難所に続々とやってくる。
3)活動報告
13:30 集合・体験会の説明およびチーム分け
13:40~14:00 チームごと自己紹介と役割決め
まず、福祉センター休憩室で、今回の訓練の趣旨や流れを確認しました。
アイスブレイクを兼ねた自己紹介と、今回の訓練におけるチームのリーダー役を選びます。
実際の災害時には、見知らぬ人とでも即席のチームを組み、役割分担に基づいて避難所を開設しなければなりません。
14:00~15:30 避難所開設体験
今回は、参加者15人を2チームに分け、40分間ずつに区切って「避難所開設チーム」と「避難者チーム」を交互に体験しました。
①ゾーニング等について話し合い(約10分間)
まず、避難所開設チームが、どんな避難者が来るのかを事前に予想し、福祉センター大ホールの見取り図を元に会場内のゾーニングを話し合いました。
あらかじめゾーニングを行ってから避難所開設に臨んだ方が、迅速かつ効率的な開設が可能となります。
(なお実際の災害時は、各避難所ごとにゾーニングのためのレイアウト図を平時から作成しておくことで、こうした話し合いは省略が可能となります。)
②避難所開設(セッティング)(約20分間)
はじめに、建物の損傷状況を確認し、安全が確認できた前提で開設を開始しました。
あらかじめ決めたゾーニングに基づき、実際の室内に避難所スペースを作っていきます。
避難者を待たせないよう、限られた時間の中でテキパキと作業を行う必要があります。
通路スペースや動線を考慮し、ブルーシートや間仕切りテントを使って、一般避難者向けのエリアや傷病者エリア、授乳室の設置等を行っていきます。
このほか、入口受付での声掛けやオペレーション方法を工夫したり、避難所内の見取り図を作成して入口に掲示する等、チームごとで違いが見られ、非常に興味深い結果となりました。
③避難者の受け入れ(約10分間)
避難者チームは、避難所の開設を待つ間に自ら考えた避難者になりきって受付にやってきます。
発熱者、大型犬を連れている人、こちらの言うことを聞いてくれない人…などなど、いろいろな避難者が登場しました。
想定していなかった避難者に右往左往しながらも、あらかじめ決めたルールやゾーニングに従って避難者を案内したり、新たに待機場所を用意したり、臨機応変に対応していました。
15:50~16:30 振り返り
自分達で実際に避難所を開設してみて気づいたこと、相手チームの様子を見て気づいたこと等をチームごとで話し合いました。
その後、チーム内で話し合った結果をお互いに発表し合いました。
どちらのチームからも「実際にやってみないと気付かないことが非常に多い」との感想が聞かれ、見たり聞いたりした知識を実践してみることの大切さに気付いたようです。
今後は、今回のような体験会をあと2回(7月・9月)開催し、そこで出された意見やメンバーの気づきを元にして、避難所開設の手順書にまとめていきます。
4)おまけ(「高森町防災士会」とは)
2023年6月、町の支援を受けて防災士の資格を取得したメンバーらにより、資格取得後に防災士が活動できる場として発足。
2025年6月時点で、53人(うち女性が18人)の防災士が所属し、メンバー同士がやりたいことを出し合って主体的に活動しています。
また、実践に重きを置いた活動を通じて、防災を知識としてだけではなく経験として身に着けることを目指しています。
組織でまとまって活動するので一人ひとりの負担も少なく、楽しみながら活動しています!
組織の性格(特徴)
- 個人や家庭そして地域の防災力を高める担い手となるために、会員同士が互いに協力して高め合うことを目的とする組織です。
- 特定の人に負担が偏らないよう会長などの役職を置かず、6~10名の運営委員(通称:リーダーズ)を中心に会を運営しています。(運営委員は2年交代)
- 自分たちだけではなく、地域の防災力や町の災害対応力の向上に繋がる活動を展開します。
主な活動(令和7年度の計画)
- 会員を対象とした避難所開設体験会(年3回)
- 定期総会(年2回)
- 資質向上を目的とした研修会等への参加(随時) など