○高森町職員の懲戒処分等の指針
平成27年8月12日
高森町職員の懲戒処分等の指針
第1 指針の目的
この指針は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条第1項に基づき、職員が違法行為や全体の奉仕者としてふさわしくない非行等(以下「非違行為」という。)を行った場合の懲戒処分の標準的な処分例を明らかにすることにより、町民の不信や疑惑を招くような不祥事を防止し、町政に対する信頼を確保することを目的とする。
第2 基本事項
1 処分の具体的な取扱いの決定に当たっては、次の各号を考慮し総合的に判断するものとする。
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責は、非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
(6) 公務上又は公務外の区分
2 個別の事案の内容、状況によっては、標準例に掲げる取扱いとせず、加重又は軽減することができるものとする。また、第6 懲戒処分の標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分等の対象となり得るものである。それらについては、懲戒処分の標準例を参考とし判断するものとする。
3 標準例にない非違行為についても懲戒処分等の対象になり得るものとし、これらについては標準例に掲げる取り扱いを参考に判断するものとする。
第3 処分の加重及び軽減等
1 処分の加重について
懲戒処分を行う場合において、次のいずれかに該当するときは、標準例に規定する懲戒処分よりも重い処分を行うことができる。
(1) 職員の行った行為の態様等が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 職員が行った行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(3) 職員が管理又は監督の地位にあるなどその占める職責の度が特に高いとき
(4) 職員が過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
(5) 職員が処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
2 処分の軽減等について
懲戒処分を行う場合において、次のいずれかに該当するときは、標準例に規定する懲戒処分よりも軽い処分とし、又は懲戒処分を行わないことができる(処分を軽減する場合においては、標準例に規定する最も軽い懲戒処分が停職の場合は減給、減給の場合は戒告、戒告の場合は訓告とすることを原則とする。)。
(1) 職員の日頃の勤務態度が極めて良好で、改悛の程度が高いとき
(2) 職員が自らの行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(3) 職員が行った行為の非違の程度が軽微である等特別の事情があるとき
(4) 職員が非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
第4 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法第29条の規定により職員の非違行為に対し、任命権者が辞令及び処分説明書により行う次の処分をいう。
(1) 免職 職員としての身分を失わせる処分
(2) 停職 身分を確保したまま、1日以上6月以下の間、職務に従事させない処分
(3) 減給 1日以上6月以下の間、給料の月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為の責任を確認させ、その将来を戒める処分
2 監督、指導上の措置
地方公務員法第29条の規定による懲戒処分には該当しないが、自己の行為に対しての責任や管理監督責任を自覚させ、将来を戒めて、職務遂行に対する姿勢の改善、意識向上等を目的として行う文書又は口頭による次の処分を監督、指導上の措置とする。
(1) 訓告 任命権者が文書により行う監督、指導上の措置
(2) 厳重注意 任命権者が文書又は口頭により行う監督、指導上の措置
第5 所属長の責務
所属長は、常に所属職員の行動の把握に努め、所属職員が非違行為を現に行い、又は行ったことが明らかであると判断した場合は、遅滞なく、その旨を任命権者に報告するものとする。
第6 懲戒処分の標準例
別表のとおり
第7 内部通報
非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。
第8 公表基準
1 公表する懲戒処分等
次の各号に該当する処分を行った場合は、公表するものとする。
(1) 地方公務員法の規定に基づく懲戒処分
(2) 地方公務員法に基づく刑事処分に関し起訴された場合の休職処分
(3) 特に町民の関心が大きい事案又は社会に及ぼす影響の著しい事案に係る指導上の措置
2 公表する内容
公表する内容は、原則として次の各号に掲げるものとする。
(1) 事案の概要
(2) 処分内容
(3) 処分年月日
(4) 所属名
(5) 職名
(6) 年齢
(7) 性別
3 公表の例外
(1) 前項の規定にかかわらず、収賄又は横領等の社会的影響が大きな事件で、起訴等により氏名が公にされている場合等は、所属課名、氏名等についても公表することができるものとする。
(2) 懲戒処分を行った場合であっても、次のような事案については、公表の内容の全部又は一部を公表しないものとする。
ア 被害者等から公表しないよう要請された場合
イ 被害者等のプライバシーに配慮する必要がある場合
4 公表の時期及び方法
(1) 懲戒処分等を行った後、速やかに、公表するものとする。
(2) 公表は、資料の提供等により行うこととする。
(3) 高森町人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年条例第3号)第4条に基づき、懲戒処分等の状況を公表する。
第9 施行日等
この指針は、平成27年9月1日から施行し、同日以後に処分理由となる非違行為があった事案について適用します。
別表(第6関係)

懲戒処分の標準例

1 一般服務関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) 欠勤

正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた場合

減給又は戒告

正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた場合

停職又は減給

正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた場合

免職又は停職

(2) 遅刻・早退

正当な理由なく勤務の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた場合

戒告

(3) 休暇の虚偽請求

療養休暇、特別休暇又は介護休暇について虚偽の請求をした場合

減給又は戒告

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた場合

減給又は戒告

(5) 職場内秩序を乱す行為

他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した場合

停職又は減給

他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した場合

減給又は戒告

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った場合

減給又は戒告

(7) 違法な職員団体活動

地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して、同盟罷業(ストライキ)、怠業(団結して仕事の能率を意識的に下げる行為)その他の争議行為をし、又は町の活動能率を低下させる怠業的行為をした場合

減給又は戒告

地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して、同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった場合

免職又は停職

(8) 秘密漏えい

職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合

免職又は停職

(9) 営利企業等の従事

許可を得ないで営利企業等に従事した場合

減給又は戒告

(10) 入札談合等に関与する行為

町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為をした場合

免職又は停職

(11) 個人の秘密情報の目的外の収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した場合

減給又は戒告

(12) 個人情報の盗難、紛失又は流出

過失により個人情報を盗難され、紛失し、又は流出させた場合

減給又は戒告

(13) 個人情報の目的外使用

職務上知ることのできた個人情報を自己又は第三者の利益に供する等不正な目的に使用した場合

免職又は停職

(14) セクシュアル・ハラスメント

(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等のその地位を利用した関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び、若しくはわいせつな行為をした場合

免職又は停職

相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した場合

停職又は減給

相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより、相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患にかかった場合

免職又は停職

相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った場合

減給又は戒告

(15) パワーハラスメント(職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、職務の適正な範囲を超えて、他の職員に精神的、身体的苦痛を与える、若しくは職場環境を悪化させる行為)

職場内の優位性を背景して、相手の性格や人格を否定する行為、業務上の過度の能力否定や責任追及及び私的なことへの過度な介入などを行い、相手及び同僚等の働く環境を悪化させた場合

停職、減給又は戒告

上記の場合において、パワーハラスメントを執拗に繰り返したことなどにより、相手が強度の心的ストレスの重責による精神疾患にかかった場合

免職又は停職

(16) 政治的行為の制限違反

地方公務員法第36条第1項又は第2項の規定に違反して政治的行為をした場合

減給、戒告又は訓告

地方公務員法第36条第3項の規定に違反して政治的行為を行うよう職員に求める等の行為をした場合

停職又は減給

公職選挙法第136条の2の規定に違反して公務員の地位を利用して選挙運動をした場合

免職、停職又は減給

(17) 施設利用者等に対する暴行・傷害

施設利用者等に傷害に至らない暴行を加えた場合

停職、減給、戒告又は訓告

施設利用者等の身体を傷害した場合

免職又は停職

(18) 供応

正当な理由なく、利害関係者から金銭や物品の贈与、金銭の貸付又は便宜の供与(社会通念上許される範囲のものを除く。)を受けた場合

免職又は停職

正当な理由なく、利害関係者と共に旅行、個人的な取引等を行った場合

免職、停職、減給又は戒告

(19) 内部通報

非違行為の事実を内部機関に通報した職員を詮索し、又はこれに不利益を及ぼし、若しくは及ぼそうとした場合

停職又は減給

事実をねつ造して非違行為を内部機関に通報した場合

減給又は戒告

(20) 公文書偽造

公文書を不正に作成または偽造し、使用した場合

免職、停職又は減給

(21) 公印偽造・不正使用

公印を偽造又は不正使用した場合

停職又は減給

(22) 法令等違反・不適切な事務処理

職務の遂行に関して法令等に違反し、又は必要な手続きを怠る等不適切な事務処理

を行い、公務の運営に重大な支障を生じさせ、又は町民に重大な損害を与えた場合

免職、停職、減給、戒告、訓告又は厳重注意

2 公金、町有物品又は町有財産取扱い関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) 横領

公金又は町の財産(以下「公金等」という。)を横領した場合

免職

(2) 窃取

公金等を窃取した場合

免職

(3) 詐欺

人を欺いて公金等を交付させた場合

免職

(4) 紛失

公金等を紛失した場合

戒告

(5) 盗難

重大な過失により公金等の盗難に遭った場合

戒告

(6) 町有物品又は町有財産の損壊

故意に職場において町有物品又は町有財産を損壊した場合

減給又は戒告

(7) 失火

過失により職場において町有物品又は町有財産の出火を引き起こした場合

戒告

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に条例、規則等に違反して諸給与を不正に支給すること及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した場合

減給又は戒告

(9) 公金等の処理不適正

自己保管中の公金を流用するなど公金等の不適正な処理をした場合

減給又は戒告

3 コンピュータ利用関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) コンピュータの不適正使用

職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた場合

減給、戒告

(2) 不正アクセス

他人のパスワードを無断で使用し、又は不正に情報システムにアクセスし、行政情報及び情報システムの破壊、改ざん若しくは消去を行い、情報を漏洩させた場合

免職又は停職

他人のパスワードを無断で使用し、または不正に情報システムにアクセスした場合

停職又は減給

(3) 不正アクセス等のほう助

情報システム管理者又はパスワードを付与されている利用権者に無断で当該利用権者のパスワードを第三者に提供した場合

停職又は減給

(4) ウイルス・不正プログラム等の利用

故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用して行政情報及び情報システムを破壊させた場合

免職又は停職

故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用してネットワークの適正な運用を妨げた場合

停職又は減給

4 公務外非行関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) 放火

放火をした場合

免職

(2) 殺人

人を殺した場合

免職

(3) 傷害

人の身体を傷害した場合

停職又は減給

(4) 暴行又はけんか

人を傷害するに至らない暴行を加え、又はけんかをした場合

減給、戒告、訓告又は厳重注意

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した場合

減給、戒告又は訓告

(6) 横領

自己の占有する他人の物(公金等を除く。)を横領した場合

免職又は停職

(7) 強盗又は窃盗

他人の財物を窃取した場合

免職又は停職

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合

免職

(8) 詐欺又は恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた場合

免職又は停職

(9) 賭博(とばく)

賭博(とばく)をした場合

減給又は戒告

常習として賭博(とばく)をした場合

停職

(10) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用

麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した場合

免職

(11) 酩酊(めいてい)による粗野な言動等

公共の場所又は乗物において、酩酊(めいてい)して公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした場合

減給又は戒告

(12) 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした場合

免職又は停職

(13) 痴漢行為

公共の乗物等において痴漢行為をした場合

停職又は減給

(14) ストーカー行為

ストーカー行為をした場合

減給、戒告又は訓告

ストーカー規制法に基づく警察による警告を受けたにもかかわらず、なおストーカー行為をした場合

停職又は減給

(15) 住居侵入

住居侵入をした場合

停職又は減給

(16) その他

公然わいせつ、盗撮、のぞき等その他のわいせつ行為をした場合

停職又は減給

5 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) 飲酒運転での交通事故等

酒酔い運転をした場合

免職又は停職

酒気帯び運転で人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた場合

免職又は停職

酒気帯び運転で人を死亡させ、又は人に傷害を負わせ、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした場合

免職

酒気帯び運転をした場合

免職、停職又は減給

酒酔い運転又は酒気帯び運転(以下「飲酒運転」という)であることを知りながらこれに同乗し、又は同乗しないがそれを容認した場合

停職又は減給

飲酒運転となることを知りながら他の者に酒類を提供し、又は飲酒を勧めた場合

停職又は減給

飲酒運転をする意思のない他の者をそそのかし飲酒運転をさせた場合

免職又は停職

(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)

人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた場合

免職、停職又は減給

人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた場合において、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした場合

免職又は停職

人に傷害を負わせた場合

停職又は減給

人に傷害を負わせ、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした場合

免職、停職又は減給

他人の物を損壊した場合

戒告又は訓告

他人の物を損壊し、事故等の危険防止を怠る等の措置義務違反をした場合

免職、停職又は減給

(3) 無免許運転、速度超過等の交通法規違反

無免許又は無資格運転をした場合

停職又は減給

無免許又は無資格運転をし、他人の物を損壊する交通事故を起こしてその後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした場合

停職

一般道30キロメートル(高速道40キロメートル)以上の速度超過(以下「著しい速度超過」という。)で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせる交通事故を起こした場合

免職又は停職

著しい速度超過で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせる交通事故を起こし、その後の措置義務違反をした場合

免職又は停職

著しい速度超過で人に傷害を負わせる交通事故をした場合

停職、減給又は戒告

著しい速度超過で人に傷害を負わせる交通事故を起こし、その後の措置義務違反をした場合

免職、停職又は減給

著しい速度超過で他人の物を損壊する交通事故をした場合

停職、減給又は戒告

著しい速度超過で他人の物を損壊する交通事故を起こし、その後の措置義務違反をした場合

免職、停職、減給又は戒告

著しい速度超過をした場合

戒告又は訓告

6 監督責任関係

非違行為

懲戒処分の種類

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いた場合

減給、戒告、訓告又は厳重注意

(2) 非行の隠ぺい又は黙認

部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した場合

停職、減給又は戒告