○診療報酬明細書等の開示に係る事務処理要領
平成12年1月1日制定
診療報酬明細書等の開示に係る事務処理要領
I 目的
この要領は、国民健康保険診療報酬明細書等(以下「レセプト」という。)の開示の依頼があった場合における取扱いに関して、その基本的事項を定め、個人のプライバシー保護及び診療上の問題に関する取扱いに十分配慮しながら、レセプト開示業務の円滑かつ適正な遂行に資することを目的とする。
Ⅱ 開示対象レセプトの範囲
開示の対象レセプトは、原則として過去5年間分の国民健康保険及び老人保健医療に係るレセプトとする。
Ⅲ 開示依頼対象者の範囲
個人のプライバシーの保護を図る観点から、次に掲げる者に限り開示の依頼に応じることとする。
1 被保険者等
(1) 被保険者(退職被保険者及びその被扶養者及び老人保健医療受給対象者も含む。)本人又は被保険者であった者。ただし、死亡している者を除く。(以下「被保険者」という。)
(2) 被保険者が未成年者又は禁治産者の場合における法定代理人
(3) 被保険者からレセプト開示依頼に関する委任を受けた弁護士
2 遺族等
(1) 被保険者が死亡している場合にあっては、当該被保険者の父母、配偶者又は子(以下「遺族」という。)
(2) 遺族が未成年者又は禁治産者の場合における法定代理人
(3) 遺族からレセプトの開示依頼に関する委任を受けた弁護士
Ⅳ 業務処理方法
1 被保険者等からの開示依頼の場合
(1) 開示依頼に係る書類の受付
開示依頼書の受付に当たっては、依頼者の本人確認を厳格に行う必要があることから、依頼者本人の来所を求め、「診療報酬明細書等の開示依頼書」(以下「開示依頼書」という。)(別記様式1)を提出させる。
なお、当該依頼者に対し、別紙「診療報酬明細書等の開示を依頼される方へ(お知らせ)」を必ず配布するとともに、次に掲げる事項を十分説明し理解を求める。
① 依頼者の本人確認の必要性
② 保険医療機関等に対する事前確認の必要性
③ 保険医療機関等が開示に同意しなかった場合については開示できない旨
④ 開示依頼のあったレセプトが存在しない場合について開示できない旨
⑤ 診療内容に係る照会については対応できない旨
⑥ 交付の方法について
⑦ 交付までの標準的な所要日数について
⑧ 開示依頼に必要な書類について
⑨ レセプトには必ずしも診療内容全てが記載されているものではない旨
(2) 依頼者の本人確認方法
依頼者の本人確認は、以下に掲げる書類(有効な原本に限る。写しは不可)の提出又は提示を求めて確認する。
なお、提示をもって確認した場合は、原則として提示された書類の写しを取るものとし、その際には、本人の了解を得る。
① 被保険者による開示依頼の場合
下記ア又はイに掲げる書類で確認する。
また、婚姻等によって、開示依頼時の氏名が診療時の氏名と異なる場合には、旧姓等が確認できる書類の提出又は提示を求めて確認する。
ア 次のうちいずれか1点
運転免許証、旅券(パスポート)、船員手帳、海技免状、猟銃・空気銃所持許可証、戦傷病者手帳、宅地建物取引主任者証、電気工事士免状、認定電気工事従事者認定証、特殊電気工事資格者認定証、耐空検査員の証、航空従事者技能証明書、運航管理者技能検定合格証明書、動力車繰縦者運転免許証、教習資格認定証、検定合格証(警備員等)、古物行商許可証、無線従事者免許証、官公庁・公団・事業団・公庫・特殊法人等の職員の身分証明書(写真・生年月日のあるもの)
イ 次のうちいずれか2点(A+B又はA+A)
A 国民健康保険被保険者証、健康保険被保険者証、船員保険被保険者証、共済組合員証、老人保健法医療受給者証、国民年金証書(手帳)、厚生年金保険年金証書(手帳)、船員保険年金証書(手帳)、共済年金証書、恩給証書、身体障害者手帳、開示依頼書に押印した印の印鑑登録証明書
B 次のうち写真が貼ってあるもの
会社の身分証明書、学生証、公の機関が発行した資格証明書
② 法定代理人からの開示依頼の場合
法定代理人(依頼者)の本人確認は、前記①に掲げる書類で確認するほか、被保険者が未成年者又は禁治産者であること及び依頼者が当該被保険者の親権者又は後見人であることを次に掲げる書類のうち少なくとも一以上の書類の提出又は提示を求めて確認する。
ア 戸籍謄本(抄本)
イ 住民票
ウ 禁治産宣告書
エ 家庭裁判所の宣告書
オ その他法定代理関係を確認し得る書類
③ 弁護士からの開示依頼の場合
弁護士(依頼者)の本人確認は、日本弁護士会会則第29条第2項に定める弁護士の帯用する記事(以下「弁護士記章」という。)及び登録番号の提示を求め、かつ、当該弁護士に係る法律事務所の名称及び住所等の記載のある日本弁護士連合会又は所属弁護士会発行の身分証明書等の提出又は提示を求め確認する。
なお、身分証明書等がない場合は弁護士に係る前記①に掲げる書類で確認する。
また、被保険者の署名・押印のある「委任状」及び委任状に押印された印の印鑑登録証明書の提出を求め、当該被保険者からレセプトの開示依頼に関する委任があることを確認する。
(3) 開示依頼書の受理
開示依頼書の受理に当たっては、依頼者の本人確認及び開示依頼書の各項目の記載に漏れ、誤りがないことの確認をした後、開示依頼書を受理し、受付日付印を押印のうえ当該依頼者へ開示依頼書の控えを手渡す。
(4) 保険医療機関等への照会
レセプトの開示に当たっては、開示することによって本人が傷病名等を知ったとしても本人の診療上支障が生じないことを事前に主治医に対して確認する。
この確認に当たっては、「診療報酬明細書等の開示について(照会)」(別記様式2)に回答期限(発信日から14日間)を記入し、「診療報酬明細書等の開示について(回答)」(別記様式3)、開示依頼のあったレセプトの写し(以下「コピーレセプト」という。)及び切手を貼付した返信用封筒を添えて、当該レセプトを発行した保険医療機関に対し、レセプト開示の適否について照会する。
また、レセプト開示の適否については、当該レセプトを開示することにより本人の診療上支障が生じない場合については「開示」、診療上支障が生じる部分を伏して開示する場合については「部分開示」、当該レセプトを開示することにより診療上支障が生じる場合については「不開示」と区分する。
なお、回答期限が経過しても回答がない場合は、当該保険医療機関等に対し、電話等により回答の要請をするなど適切な対応を図る。
(5) 開示、部分開示又は不開示の決定
保険医療機関等より、当該レセプトについて前記(4)の回答があった場合にあっては、その回答に従って開示、部分開示又は不開示を決定する。また、保険医療機関等より部分開示の旨回答があった場合にあっては、当該不開示部分を伏したうえで開示する。なお、次に掲げる場合にあっては、当該レセプトについては開示の取扱いとする。
① 保険医療機関等に対し照会を行った際に示した回答期限内に当該保険医療機関等から回答がなかった場合において、電話等により回答の要請をしてもなお回答が得られないとき(ただし、主治医と連絡中である等遅延に相当な事由が認められる場合を除く。)
② 当該保険医療機関等の廃止等の事情により、保険医療機関等に対して前記(4)の照会を行うことができない場合
③ 照会の結果、送達不能で返戻された場合において、当該保険医療機関等を管轄する県保険課に確認してもなお当該保険医療機関等の所在が確認できないとき。
(6) 調剤報酬明細書の取扱いについて
調剤報酬明細書(以下「調剤レセプト」という。)について開示の依頼があった場合は、当該調剤レセプトに記載された保険医療機関等に対し前記(4)の照会を行い、(5)の決定を行う。
なお、当該調剤レセプトを開示する場合においては、当該調剤レセプトを発行した保険薬局に対し、「調剤報酬明細書の開示について(お知らせ)」(別記様式4)によりその旨を速やかに連絡する。
(7) 開示又は部分開示の場合の連絡及び交付方法
① 窓口交付を希望した場合
ア 依頼者への連絡
開示又は部分開示の決定を行ったときは、「診療報酬明細書等の開示についてのお知らせ」(別記様式5)により速やかに依頼者に連絡すること。この場合「親展」扱いで郵送する。
なお、当該「診療報酬明細書等の開示についてのお知らせ」を発送した日から1ケ月を経過しても来所又は連絡がない場合は交付用コピーレセプトを破棄して差し支えない。
イ 交付を行う際の依頼者本人であることの確認
先に依頼者あて送付した「診療報酬明細書等の開示についてのお知らせ」の提示を求め、前記(2)に準じて本人確認を行う。ただし、受付時に本人確認の手段として提出された書類又は開示された書類の写しがある場合には、それにより、依頼者本人であることの確認を行っても差し支えない。
ウ コピーレセプトの交付
コピーレセプトの交付に当たっては、当該交付用コピーレセプト(1部に限る。)に「保険者名」及び「開示日」を押印し、交付する。
なお、交付の際は、受領者(依頼者)から開示依頼書の右下欄に署名を受ける。
② 郵送による交付を希望した場合
ア 依頼者への連絡及び交付
開示又は部分開示の決定を行ったときは、「診療報酬明細書等の開示についてのお知らせ」(別記様式6)に「保険者名」及び「開示日」を押印した交付用コピーレセプト(1部に限る。)を添付のうえ、速やかに依頼者に交付する。
なお、この場合、開示依頼書の依頼者欄の「住所」欄に記載された住所あてに「親展」扱いで送付する。
イ 返戻分の取扱い
送達不能で返戻された交付用コピーレセプトは、返戻された日から1ケ月経過しても来所又は連絡がない場合は、破棄して差し支えない。
(8) 不開示の場合の取扱い
不開示の決定を行ったときは、「診療報酬明細書等の不開示について」(別記様式7)により速やかに依頼者に連絡する。
なお、この場合、開示依頼書の依頼者欄の「住所」欄に記載された住所あてに送付する。
(9) 不存在の場合の取扱い
開示の依頼があったレセプトについて、調査してもなおその存在が確認できない場合は「不存在」とし、「診療報酬明細書等の不存在について」(別記様式8)により速やかに依頼者に連絡する。
なお、この場合、開示依頼書の依頼者欄の「住所」欄に記載された住所あてに送付する。
2 遺族等からの開示依頼の場合
遺族等から開示の依頼があった場合については、前記1「被保険者等からの開示依頼の場合」における取扱い(前記1(1)「開示依頼に係る書類の受付」)の依頼者に説明する事項のうち②及び⑨、(4)「保険医療機関等への照会」、(5)「開示、部分開示又は不開示の決定」(6)「調剤報酬明細書の取扱いについて」並びに(8)「不開示の場合の取扱い」を除く。)に準じ、開示の依頼に応じる。この場合において、これらの規定中「被保険者」とあるのは「遺族」と読み替える。
また、遺族等についての本人確認の際には、前記1(2)に掲げた書類による確認に併せて、当該被保険者の死亡の事実及び当該被保険者の遺族であることを次に掲げる書類のうち少なくとも一以上の書類の提出又は提示を求めて確認する。
なお、市町村においては、下記ア、イ、ウの書類についての確認が可能な場合は、提出又は提示を省略することが出来るものとする。
ア 戸籍謄本(抄本)
イ 住民票(除票)
ウ 死亡診断書
コピーレセプトを交付する場合においては、当該保険医療機関等(調剤レセプトを開示する場合においては保険薬局も含む。)に対し、「診療報酬明細書等の開示について(お知らせ)」(別記様式9)によりその旨を速やかに連絡する。
3 標準業務処理期間
(1) 開示依頼書を受理してから開示等の連絡及び交付に至るまでの業務処理期間は、1ケ月程度を目途とする。
(2) 前記(1)の期間を超える場合には、依頼者に「診療報酬明細書等の開示について(遅延のお知らせ)」(別記様式10)によりその旨を連絡し、理解を得るよう努める。
4 関係書類の整理保管
開示依頼書の受付から開示等の連絡及び交付に至るまでの処理経過については、その都度「レセプト開示受付・処理経過簿」(様式略)に記載し、進捗状況を把握する。
なお、レセプト開示に係る一連の関係書類は、受付日毎に整理し保管する。
5 レセプト交付に係る費用の負担
レセプトのコピー代及び送付に係る費用は、開示依頼者の負担とする。ただし、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、その費用を免除し、又は減額することができる。
様式1

様式2
様式3
様式4
様式5 窓口交付用
様式6 郵送交付用
様式7
様式8
様式9
様式10
別紙